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2022年10月31日 (月)

第74回正倉院展をみて

午前診を終え、嫁と奈良国立博物館に行ってきました。15時過ぎに入館、16:30に一通り観ました。そこから図録を買って元へ戻ると、16:50には館内がガラガラになり、目玉展示品の銀壺に描かれている漫画絵を観ながらぐるぐる銀壺の周囲を回りました。なんと動くアニメに早変わり。

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銀壺(ぎんこ) 

恵美押勝の乱を平定後、称徳天皇が東大寺への初行幸の日に献納されたものだそうです。騎馬民族たちの馬上生活が、銀壺の上中下段に漫画で描かれており、馬上で弓を射る騎射の基本形、正射と逆射が特徴的。

漆背金銀平脱八角鏡(しっぱいきんぎんへいだつのはっかくきょう)

鶴、オシドリ、鴨、鳳凰が草花をくわえて飛んでいる様子が描かれています。実に繊細。

鳥獣花背円鏡(ちょうじゅうかはいのえんきょう)

唐で作成。7世紀の遣唐使が持ち帰った海獣葡萄鏡。

金銀平脱皮箱(きんぎんへいだつのかわばこ)

中央の鳳凰が見事、周囲に鳥と花枝。

紫檀木画箱(したんもくがのはこ)

飛鳥(ヤツガシラ)と花弁。

犀角魚形(さいかくのうおがた)

腰につるして歩いたオシャレ。

彩絵水鳥形(さいえのみずどりがた)

これは超絶的に精密で凄かった。鳥の体の色合いと、鳥の羽の彫刻が見事。今回の正倉院展のNo.1だと思う。

伎楽面(呉公・呉女・力士)

相李魚成(しょうりのうおなり)の作品。呉はだいぶ前の時代。倭国が交易したころ、こんな顔をした男女と倭人が出会っていたのだろうと想像した。呉女は丸顔で、鮮卑族のような顔つきだ。呉男は鼻が高く、ソグド商人を連想した。

粉地彩絵几(ふんじさいえのき)

脚のグラデーション。顔料に使っているのが、岩群青、鉛丹、岩緑青、臙脂(えんじ)、金泥(きんでい)。

鉄三鈷(てつのさんこ)

空海が持ち帰った密教が奈良時代にすでに伝えられており、古密教(雑密)の儀礼で用いたそうだ。

造東大寺司から東大寺の三綱所へ送られた書簡

全国各地に散らばった東大寺の財源荘園が記されている。

文書作成したのが、阿刀酒主(あとのさかぬし)

造東大寺司が、佐伯今毛人(さえきのいまえみし)

正六位たちのサイン(署名)をみていこう。

 伊羑𠮷萬里(いゆうきちのまんり)

 石川豊麻呂(いしかわのとよまろ)

 安倍朝臣真道(あべあそんのまみち)

阿倍比羅夫(あべのひらふ)は、斉明天皇と天智天皇に仕えた倭国時代の海軍武将。蝦夷征伐と白村江海戦に参戦。倭国側でなく扶桑国側の人物なのか?その子が阿倍宿奈麻呂(あべのすくなまろ)で、文官の人生を送った。奈良時代あたりから朝臣を苗字につけたようだ。

白村江海戦の直前に北海道まで大軍団で遠征している理由が知りたい。一種の軍事訓練だったような気がするのだが。

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