第73回正倉院展をみて
午前診を終え、嫁と奈良国立博物館に行ってきました。15時入場前に、行列がすでにできており、入場したのは15:10くらい。
今年の目玉は、簡単に言えば、
聖武天皇愛用の尺八と琵琶と肘掛け
尺八に飛鳥の服を着た女性が二人描かれていた。古代ロマン。
采女らの袖ふきかえす明日香風 都を遠み徒に吹く
都が田原本、西大寺と遷っちゃったもんで、住み慣れた明日香が廃れちまった。采女の袖を吹き返してチラ見させてくれるエッチな風が相も変わらずこの明日香にビュービューと吹いてくれているんじゃが、采女ちゃんたちがいないから余計に虚しさが増してくるわい。
螺鈿(ヤコウガイ)と玳瑁(ウミガメのべっ甲)で花弁や鸚鵡を描いていた。日本製の玳瑁は黄色、この四弦琵琶は赤褐色なので東南アジア産、舶来ものだとわかる。
肘掛け、鳥の刺繍が対になってされていた。
光明皇后の漢文模範書簡練習帳
唐人からいつも漢文を学ぶわけにはいかんだろう。
サラセン帝国産色付きガラスの高坏
鉄分を含ませ黄褐色に染める技術は遠くローマ、イスラムの技法。
ビザンツ帝国産メノウの盃
おお、ビザンツ、その名は甘き響き。
蓮華の香台 漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)
蓮弁に細密画が描かれてあり、仏の絵が気に入った。
筆
筆は動物の毛をくるくる巻いて作っており、高級な順に、うさぎ→タヌキ→鹿。鹿はそんじょそこらに居たもんね。兎毛の筆で経文を書き、狸毛の筆で経題を書き、鹿毛の筆で界線を書いた。二十五か国に筆の本数、楮紙の本数を命じて筆や紙を献納させていた。筆傷んだからちょうだいという官僚文書がおもろい。
墨
唐や新羅からの輸入品。
青斑石硯(せいはんせきのすずり)
青斑石を彫ってすずりにして、台の枠は象牙を薄く削って張り付けてある。
色紙、絵紙
青色紙は藍、赤色紙は茜、桃色紙は紅花で染めてある。麒麟の絵は赤色染料で描き、飛雲の絵は白色染料で描いていた。白色は鉛白、青色は岩群青、緑色は岩緑青、紫色は臙脂(えんじ)、赤色は鉛丹・臙脂、濃赤色はベンガラ。
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