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2021年10月 8日 (金)

満洲国

日露戦争直後、日本は世界最高の地位を手にしていた。世界じゅうが日本を頼っていた。経済政策の失敗で、そこから戦前、戦中、戦後と転げ落ちていった。

昭和初期、貧困に喘ぐ大日本帝国に絶望感を抱き、海外で暮らしたいと思う日本人が一定数いた。ブラジルは遠い、そんな彼らがすぐに行くことができたのが満洲国であった。そこは万里長城以北の誰の所属かわからない不毛未開の地で、満洲鉄道、シベリア鉄道と乗り継げば、ベルリン、パリ、ロンドンにまで直接行けた。

満洲電気化学、満洲重工業開発(日産自動車)など、日本の秀才たちがシベリア・日本に安価で暖かい人工繊維服を届けたい、裕福な国を建設したいという大きな希望を持って満洲に行く一方、裏ではアヘン交易など財閥や陸海軍や中華民国軍閥らの利権争いが絶えなかった。第二のソ連建国を夢見た新進気鋭の社会主義者もクレムリンの指令を受けて混じっていた。渋沢栄一氏が満洲開発に大きく関与していたことは事実で、裏でどんな取引が展開されたのかは、消された資料が多いなか、今後の研究成果を待ちたい。歯を磨くことを極度に嫌った毛沢東は、あのときの満洲工業を無料で接収できたことを田中角栄に感謝した。

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