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2021年1月16日 (土)

宝塚歌劇花組(1989)「会議は踊る」をみて

30年以上ぶりにみることができた。とても懐かしい。その昔、マリーアントワネットの母、マリアテレジアはウィーンの風紀を乱すとしてワルツ禁止令を出すも、市民は隠れてワルツを踊っていた。その神聖ローマ帝国はナポレオンによってローマの国号を剥がされ、オーストリアと名乗らされるという屈辱を受ける。プロイセンにいたっては王ではないと蔑まれナポレオン歓迎の舞踏会にすら招かれず。「フリードリヒ大王ありせば、かくも屈辱は受けまじ。」1809年、アスペルンの戦いで連戦連勝のナポレオンがはじめてオーストリアに負けるという朗報が流れ対仏大同盟軍は大いに色めきだったが、結局ナポレオンの巻き返しで惨敗。1812年、冬将軍でナポレオンはロシアに惨敗。1813年、プロイセンのグナイゼナウ軍参謀の戦略がナポレオンをまさり、オーストリア・プロイセン・ロシア連合軍がフランスを破る。1814年、ナポレオンはエルバ島に流刑され、ウィーン会議が開催。ナポレオンによって一緒くたにされたヨーロッパを元通りに分けるという相談をするための、戦勝国だけの会議であったが、敗戦国フランスのタレーランが割り込んで孤軍奮闘し、各国、国境線をどう引くかという微妙な問題に揉め続ける。そんななか、ロシアとオーストリアの二重スパイ、エヴァ夫人(峰丘奈知)が暗躍する。ウィーン市民人気の目玉はハンサムで知られていたロシア皇帝アレクサンドル1世。

オーストリア首相メッテルニヒ(朝香じゅん)は、女好きのロシア皇帝アレクサンドル1世(大浦みずき)に王女エリザベート(梢真奈美)を娶わせるという色仕掛けをして会議の席から外してポーランド領有の主張をさせないように仕組む。そんなことはアレクサンドルも承知、各国スパイ合戦が展開される。アレクサンドルの馬車行進中に、ウィーン手袋屋主人クリステル(ひびき美都)の手袋入り花束が投げ込まれた。爆弾投入の嫌疑で逮捕される。メッテルニヒ子飼いのスパイにしてクリステルを愛するフランツ(真矢みき)がアレクサンドルに直談判して恩赦を願い出る。クリステルは裁判で鞭打ちの刑を言い渡されるが、ロシア皇帝の特赦状を持ってきたサーシャ伍長(アレクサンドルの変装)が危機一髪でクリステルを救い出す。サーシャ伍長とクリステルは恋に陥る。東京芸大仕込みの三ツ矢直生さん(パウル)の歌声が酒場を盛り上げる。華陽子・安寿ミラペア、香坂千晶・友麻夏希ペアの小芝居がおもしろい。手袋屋の店員の一人が詩乃優花ちゃん。あとの店員は桜木星子さん、夏目佳奈さん、夢乃千琴さん。男役から娘役に転向したばかりの最下・紫鳳あけのさんもプロローグ出演。幕間・歌うまの掃除婦トリオは、草の芽もゆ・すみれのあいか・路あかりのお三人。

クリステルは皇帝の手袋がほしいとサーシャ伍長に願い、後日皇帝の手袋が届られ、クリステルは同じ型の手袋を量産しロシア皇帝御用達の看板を掲げ一儲けに成功する。

そこへサーシャが公務怠慢の罪でシベリア送りになるという手紙が届けられ、クリステルは悲嘆にくれる。アレクサンドル皇帝はサーシャの仮面を剥ぎ、仮の姿サーシャではなく皇帝である自分を愛してもらえるように、クリステルの心を変えようとして手袋屋の店に現れる。当然、クリステルは身分の高い自分になびくと思っていたのに当てが外れ、クリステルは怒り、アレクサンドルも怒る。時には皇帝の王冠とマントを脱ぎ捨て、翼を持って自由に飛び回りたいと願う姿がサーシャ伍長。かといって、重い王冠とマントにロシア皇帝としての誇りは持ち続けている。皇帝というものは、世界を動かせる力は持っているくせに、クリステル一市民の心すら変えられないことに気づかされ、アレクサンドルは悩む。

失恋のアレクサンドルは(いつものスケベ心で)エリザベートに密会し、メッテルニヒの提案を受け入れ、自分のキスを売って集めた金をウィーンの貧しい人たちに分け与えるという慈善舞踏会を開催する。クリステルの心は頑として傾かなかったのに、エリザベートの心は簡単にアレクサンドルに傾く。

アレクサンドルに非礼を詫びに謁見しに来たクリステルとアレクサンドルが再会する。アレクサンドルは1分でサーシャに再び扮して、アレクサンドルにも好意を抱くようにクリステルを誘うが、ほっぺたをはたかれる。

サーシャとアレクサンドルが同一人物だというフランツの言葉を頑として信じないクリステルに、フランツは舞踏会の自分用のチケットを渡す。アレクサンドルは順番待ちのクリステルにキスした瞬間、クリステルははじめて酒場の夜にサーシャと交わしたキスと同じことを悟り、誤解が解け、アレクサンドルはクリステルをかたく抱擁しキスしワルツを踊る。エリザベートは失恋を悟り、ふたりの幸せが絶頂に達したとき、ナポレオンがエルバ島を脱出しフランスに上陸したという一報が届く。ウィーン会議は即刻解散、各国代表は戦争準備のため慌ただしく帰国し、舞踏会も突如中止。皇帝お迎えの馬車のけたたましい轟音の中で、アレクサンドルは、誇りあるロシア皇帝の重いマントを羽織り、再会を信じるクリステルに永遠の別れを告げる。

諦めていた恋に全身全霊をかけてワンチャンスに生きるクリステルの姿は、彩風咲奈さんに見初められた朝月希和ちゃんにピッタリだと思う。大浦みずきさんに見初められたひびき美都さんと同じように。

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