今日は、小児てんかんの投薬法と脳外科手術のお話。脳神経外科川井先生は、1981年本郷農学部理科三類の入学試験で一浪の私と戦ったことになるようで、川井先生はWinner、私はLoser。特に難問だらけの数学をともに解くべく頑張った同志という感じでした。神経線維を切除する際は基底核間の繊維と皮質・基底核間の繊維を大きく二つに分けて考えればいいということくらいしか、凡人には理解できませんでした。海馬を多切するという手技ははじめて知りました。ごっそり皮質を切るより予後がいいことがあるそうです。
内科的治療は新薬の検討、日本小児神経学会ガイドライン2018をふまえ、海外のガイドラインとの比較検討、さらに教授たちの処方の紹介がありました。
Na+チャンネル阻害剤は精神作用が少ないので重宝にされています。
新薬の話では、バルプロ酸(デパケン)はまだまだ捨てがたいという前提の下で、
STPは食欲低下と不眠が問題。LEVは傾眠が問題。PERは傾眠と易刺激性が問題だが、ミオクローヌスに効果を発揮する。1/4錠、1/2錠から開始。55-60%に効果(50%以上発作減)あり。
LCMはNa+チャンネル阻害剤なので、精神症状が出にくく使いやすい。
LTGは抗鬱効果が期待出来ていい薬だが、薬疹が問題。少量から薬疹に気を付けながら増量を図る。
GBPは感情安定作用があるので、攻撃性を有する子供には優先して用いる。
痙攣重積の新薬ブコラム(ミタゾラム)は口腔内粘膜投与なので投与が簡単。
自殺企図にはデパケンやテグレトールもいいかもしれない。
血中濃度を管理すべき薬は、PB, PHT, LTG。治療閾が広いのでほかは中毒を起こしにくいので測定しない。
焦点発作 CBZ → 二次性全般化があればVPA, LEV。焦点発作にいきなりLTGは薬疹の問題があり避けたい。
欠神発作 ESM → GTC合併ならVPA、妊娠可能女性にはLTG
全般発作 第一選択はVPA, 第二選択としてLEV, LTG
West症候群 結節性硬化症がなければACTH(ステロイド)、結節性硬化症があればVBG。VBGは不可逆性緩徐進行性鼻側求心性視野欠損があり、網膜電図(ERG)検査が必要で、MRI異常信号もあるので、開業医レベルでは投与無理。
Lennox症候群 第一選択はVPA。PERもいいが、活動性低下や行動異常が問題。
Dravet症候群 第一選択はVPA。無効ならSTP, 臭化カリウム, TPMを考慮する。
CSWS 第一選択はVPA。効果不十分ならESM, STM
(ⅲ)単位 2個ゲット
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