あべのハルカス美術館「奈良西大寺展」をみて
午前診を終え、近鉄、御堂筋線と乗り継いで、天王寺のあべのアルカスへ行ってきました。
西大寺は私が3歳の時から遊んでいた庭でして、秘仏がここまで勢ぞろい公開されるのは初めてのことです。
称徳天皇が藤原仲麻呂の乱調伏のために西大寺を建立しました。平城京は衰退し、西大寺も廃れましたが、鎌倉時代に叡尊(えいそん)が中興しました。その功績で、興正(こうしょう)菩薩と呼ばれています。1201年に奈良に生まれ、1290年に死去しました。奈良火葬場の白毫寺(←天智天皇の息子・志貴皇子の山荘)や西隆寺(←奈良ファミリーに残る尼寺廃寺)など多くの末寺をもち、今は当時の南半分しか残っていません。
叡尊の弟子に、忍性(にんしょう)がいますね。彼も奈良生まれで、文殊菩薩と聖徳太子への信仰が厚かった。
叡尊は仏像を善慶・善春をはじめとするお抱え仏師に仏像を彫らせましたが、その特徴は像内納入品の多さです。身分を問わず、96000人もの結縁者の名前が紙に書かれてあるそうです。
専属仏師・善春が1280年生存中に彫ったそうです。これは、なかなかお目にかかれません。
叡尊自筆書状(西大寺)
叡尊が法華寺(尼寺)の慈善に宛てた手紙です。ひらがなで書いてありました。
金銅宝塔(西大寺)
きらびやかな装飾が完全に残ってます。
金銅火焔宝珠形舎利容器(西大寺)3基
水晶に舎利骨が入れてあります。
文殊菩薩騎獅像(法華寺・大智寺・般若寺)3体
安倍文珠院でおなじみ、獅子に乗った文殊菩薩坐像です。
聖徳太子立像(元興寺)
叡尊は聖徳太子信仰が厚く、西大寺真言律宗に持ち込んだようです。
塔本四仏坐像(西大寺)
メイン!!釈迦如来、阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来の秘仏4体が円卓に鎮座しています。わたしは何といっても、阿弥陀如来のお顔が好きです。
白銅密教法具の白銅打ち鳴らし(西大寺)
亀山天皇が元寇調伏祈祷(むしろ呪詛やないのかな)のために、叡尊に贈ったでかい鐘。音もでかいはずだ。
亀山天皇自身も元寇調伏呪詛、がんばりました!
黒漆光明真言厨子(西大寺)
光明真言とは13人の菩薩の名前を一字ずつ並べたもので、一挙に唱えることで法力を具現する。叡尊直筆ですよ!
文殊菩薩坐像(白毫寺)
奈良の火葬場の守り仏です。
普賢菩薩騎象像(岩船寺)
岩船寺アクセスはしんどいし、なかなかお目にかかれません。白象の目がいやらしい。
吉祥天立像(浄瑠璃寺)
メイン!!頭に鳳凰をかかげる秘仏「吉祥天立像」は8/6まで期間限定展示しています。これはなかなか公開されませんし、公開されても暗いお堂の中なのでここまではっきり見られません。まして背中や横からなどはとても拝めませんよ。
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