6月に入り、診療も落ち着いたので、Youtubeで「太平記」をみました。ファミリー劇場の海賊版を中国人がつくって無料で流しており、ついつい中国語の字幕をチラ見してしまいました。
中国人も熱心に日本人を研究しているようで、尖閣の中国軍艦侵略もあわせ、日本人もしっかりしなければ、滅ぼされますよ。
この時代、関所もなく、日本国中行きたいところへ馬を走らせる良き時代でした。
さて前半は、北条氏滅亡のくだり。フランキー堺の長崎円喜がにくったらしいのなんのって。まあこれも平氏の特徴かと納得。高時切腹のシーン、母ごぜを制止して最後は立派に武士として果て、長崎円喜は息子の自害を横で見送り、最後まで北条氏全員が死ぬのを確認したところでおもむろに切腹。
柳葉敏郎の阿石(いし)、宮沢りえの藤夜叉(ふじやしゃ)の兄弟やら夫婦やらよくわからない生活のくだり。
「いーしー」
「おお、ふじやしゃ」
渋谷ですれ違う若者じゃないんだから、うるさいわ。
柳葉敏郎の阿石。親を足利に殺されたと言い張って、尊氏が殺したわけでもないのに憎しみ100倍。藤夜叉の尊氏に対する直訴がかなって、その尊氏に恩賞の土地をもらっておきながら、楠木様のおかげ?はあ?すごく腹が立っていつも見ていた。
藤夜叉のこどもイザヤ丸がのちの足利直冬になるのですが、戦い大好き人間。新撰組みたいなサムライ気取り・剣術バカが限界なのか。
しかし赤橋守時の妹・登子(とうこ)を沢口靖子が演じていて、バカ息子・義詮を必死にかばう姿もばかげている。そりゃ幕府も傾くはず。まだ直義→直冬の家系で幕府をしたほうが、明に土下座し帝位につこうとした義満のような売国奴も出なかったし、良かったような気がする。大友氏、少弐氏ら九州一円の武士たちは直冬推しで一致団結していたわけで、そこそこの人物だったのだろう。
闘鶏好きの義詮は、まったく闘犬好きの北条高時と同じくらいのおバカ。こんなのに仕えなければならない高師直や足利直義に同情した。
楠木正成の妹・花夜叉はいい演技をしていた。いいところで尊氏と正成の調停役を果たしていた。最後は猿楽を舞った後、尊氏に京の繁栄をお願いするシーンはよかったね。
後醍醐天皇の親政、むちゃくちゃですね。ニセ綸旨がはびこり、紛争が各地で絶えない。それをおかしいと尊氏は戒めているのに、聞く耳持たず。むちゃくちゃでござりまする。内裏紫宸殿の建造をやっている場合ではない。
観応の擾乱。高師直・師泰が、足利尊氏・直義を5万の兵で取り巻くシーン。これどっかで見たぞ。そうだ本能寺の変と一緒じゃないか。明智光秀は高師直をめっちゃ意識していたはず。
直冬+直義についた山名氏、義詮+尊氏についた細川氏。これもどっかで見たぞ。そうだ応仁の乱じゃないか。登子が日野富子じゃな。もうすでに100年前に同じ構図で二つの寺に陣を敷いて、合戦しているではないか。こんなに山名・細川の世話になっていたのでは、恩賞をめっちゃはずまないといけなくなったわけで、そりゃ最初から幕府は弱いわ。
陣内孝則演じる佐々木道誉のバサラぶりがいいね。なんだかんだで最後まで尊氏についてきたところは、とてもいい。後醍醐が隠岐に流罪になったとき、女を二人あてがったあたりは笑いました。
「いま尊氏殿に死なれては困るのじゃ。」
「最後はこの佐々木判官が天下をいただくのじゃ。」
二条の姫を強姦して天皇は木でも金でもいいと言い切った高師直もバサラだが、佐々木道誉はずば抜けている。バツが悪くなると必ず大声を張り上げたり、長崎円喜においおい泣いてすがりついたり。尊氏が後醍醐にあったことを北条氏に告げ口し、尊氏絶体絶命のピンチ。
「いや、わしの思い違いじゃ。こんな顔は見たことはないぞ。」
の見事なちゃぶ台返し。ナイス!尊氏にしっかり恩を売る判官。
あと私だけが知るマニアックな話をひとつ。
時代考証は永原慶二教授。空襲で校舎を焼きだされ旧制一高の駒場に身を寄せて青空授業を受けた旧制東京高校出身にして、荘園研究の第一人者です。
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