「1789 バスティーユの恋人たち」をみました
午前診を終え、梅田芸術劇場に行ってきました。
反乱で父を殺され、恨みに思っていた農民ロナンがパリへ行きます。ロナンの妹ソレーヌは兄の後を追てパリへ行きますが、ジャコバン派議員ダントンの娼婦となっていました。ソレーヌを見つけてロナンは咎め、ダントンと決闘しますが、それが縁となってジャコバン派ロベスピエール、ダントン、デムーランの3人と知り合います。しかし彼らの言葉の端々にブルジョアの匂いを感じたロナンはいったん彼らの秘密新聞印刷結社を離脱します。
一方、ロナンの恋人オランプはマリーアントワネットとフェルゼンの浮気のお世話をしていましたが、それがルイ16世の知るところとなります。フェルゼンはマリーアントワネットをスウェーデンに連れ去ろうとしますが、「フランスの女王ですから」のれいの名セリフでフランスに残ります。ロナンが革命家だと知ったマリーアントワネットは、オランプを解雇します。自由の身になったオランプは、ロナンのもとへ行き、ロナンはロベスピエールらジャコバン派と和解。ともにバスティーユ牢獄を襲撃しますが、ロナンは国王の兵に撃たれて死にます。
アベシェイエスの「第三身分とはなにか」で三部会招集の機運が高まりましたが、三部会で敗北した第三身分が、テニスコート(球戯場)で、国民議会設立を誓い、「自由」「友愛」「平等」のフランス人権宣言が高らかに舞台で読み上げられます。
舞台では「他人を傷つけない限りの自由」と長ったらしく断りを入れていましたが、それならルイ16世やマリーアントワネットを傷つけちゃいけませんよね。要するに王権神授説を完全否定したルソーの社会契約論は論理破綻していたのに、大衆心理で粛清の恐怖政治になだれ込んでいったのです。本来は国際的な組織だったフリーメイソンの暗躍があったのですが、それは舞台では描かれず。
フランス革命は貴族と平民の対立として描かれますが、平民が真っ先に襲撃したのは聖職者や教会でした。カトリック信仰を禁止したのですよ。これこそフリーメイソンの第一目標でした。事実に即して描くべき。最後は。ロベスピエールという一人の清廉潔白な人間を「理性の最高存在」として崇め奉る始末。
花總まり、夢咲ねねのジェンヌゴールデンコンビを狙ってチケットを取っていました。
花總まりは、実に堂々とした「フランスの女王」マリーアントワネットらしい熟練演技でした。相手役のロナンやフェルゼンがかすんでしまうほどの女帝ぶりでした。
宝塚歌劇退団間もない夢咲ねねのオランプもうまくこなしていましたが、若さを感じました。これからを期待したいですね。
やっぱり目立っていたのはソニン。主人公ロナンの妹ソレーヌ役でしたが、涙を流しながらの熱演と歌唱力は素晴らしかったです。
舞台では、革命家の肩を持ちつつ、その愚かさも匂わせ、「恨みは尽きることがない」という仏教思想で締めくくっていました。
最後に、端役の男優さんの月面宙返り、すばらしかったですよ。
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