第63回正倉院展をみました
昨夕は、正倉院展に行ってきました。300円安いオータムレイトチケット(700円)を買って、17:30過ぎに入場。昨年は、五弦の琵琶の人気で、えらい大混雑していましたが、今年は人出が少ないと思いました。
今年の目玉出品は、聖武天皇が愛用していた金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうからたち)です。19時終了時間間際でも、目の前で見ようと人が集まっていたほどです。わたしもそのひとりでしたが。水晶玉、ガラス玉が散りばめてあり、鮫皮の鞘、いまだに錆びずに光沢を保っている驚異の刀身。すばらしいの一語に尽きます。
紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)も人気でした。象牙を赤く染める技術はすごいと思いました。虎、鹿、狐が模様として描かれていました。
黄熟香(おうじゅくこう)という香木に、織田信長と足利義政が一部パクッた痕があり、これも人気でした。たしか信長は正倉院から碁石もパクっていたような記憶があります。お経の容器だった沈香末塗経筒(じんこうまつぬりのきょうづつ)の表面に、この香木の粉末を漆に混ぜてまぶしてありました。お経のありがたみが、得も言えぬ香りとともに実感できたのでしょう。まあこのふたつがワンセットでした。
献物箱だった碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)、それに献物用の台であった蘇芳地金銀絵花形方几(すおうじきんぎんえのはながたほうき)と、粉地彩絵几(ふんじさいえのき)の脚の色彩は見事です。濃淡をつけて色彩のグラディエーションを描く技術が今回の正倉院展のテーマだと思いました。
聖武天皇は遷都がお好きな天皇でした。働いている人夫からは愚痴が聞こえてきそうですが。紫香楽宮を増設するとき、工事現場事務所になったのが甲可寺(こうかでら)。いまの甲賀寺です。その甲可寺から平城京に人夫の給料を要請する文書が心に残りました。
19時半ころ会場を出てすぐにある「志津香(しづか)」で、奈良名物釜飯を食べました。秋限定の若鶏入り栗釜飯です。
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