第62回正倉院展を観て
昨日木曜日、市の1歳半健診を終え、奈良国立博物館の正倉院展に行ってきました。今年は、なんと言っても、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」がメインでしょう。聖武天皇愛用の1品です。16:20に博物館に到着。前売り券を買っていましたので、さっそく入場したところ、五絃琵琶の前に長蛇の列ができていました。最初17時に閉館と勘違いしており、第1部展示は後回しにして、比較的すいていた第2部から観ていくことにしました。まず目に付いたのは、称徳天皇が東大寺に寄進した大きな銀壺(ぎんこ)でした。えらい財産もちやなあと感心しました。次に目に留まったのは、鳥獣花背円鏡(ちょうじゅうかはいのえんきょう)。真ん中に海獣、その周囲にぶどうの木が飾ってあります。第3部には、麻でできた色紙や、木簡が展示してありました。さらに恒例の古文書コーナーを見ていてびっくり。道鏡直筆の古文書がありました。つつましやかに、「法師道鏡」の直筆サイン。称徳天皇と同等の位であった法王にまで上り詰めていた道鏡。東大寺の高僧、良弁(ろうべん)は「大僧都良弁」とサインしているのに比べ、少々わざとらしい演技のように感じられます。父・藤原不比等のために書写した光明皇后直筆のお経、父・聖武天皇のために書写した称徳天皇直筆のお経も展示されていました。字は人柄を表すといいますね。
(1)光明皇后
墨は薄めで字体は細いが、一字一画ていねいにお書きで、夫より一歩ひいた慎ましやかにしてまじめなお人柄を感じました。
(2)称徳天皇
墨は濃く、字体は太く、最初のおさえ、終わりのハネまでしっかり書いており、我こそはと前に出る気丈なお人柄を感じました。
(3)道鏡
墨は薄く、字体は太く大きいが、雑な感じを受けました。しっかり墨をすらずに書くところは、せっかちでラフな性格じゃないかなと思いました。事実上の妻であった称徳天皇の字と正反対のように思えました。
17時をすぎても人ごみは続きましたが、意を決して第1部を観ることにしました。まず目を引いたのは、鳥獣花背八角鏡(ちょうじゅうかはいのはっかくきょう)。鳳凰が描かれていました。光明皇后愛用のボロボロの靴もありました。獣皮ではなく、麻の紙でできているそうです。10分ほど並んで、やっと五絃琵琶を拝みました。ボーリング10ピンのような絵柄、らくだに乗った人物像が描かれていました。病弱の聖武天皇が死んで余った薬の数々が展示されており、種々薬帳(しゅじゅやくちょう)には紫微中台であった藤原仲麻呂のサイン、左京大夫の藤原永手のサインなどを観ました。第1部から第3部まで行ったりきたりしているうちに、ひと気もぐっとなくなり、17:40に五絃琵琶を見に行くと、行列はすでに無く、立ち止まって見放題でした。グルリと周りを取り囲む程度の人しかいなく、おかげでじっくり観察できました。ヤコウガイの殻でできた花飾りですが、暗闇で光るのかなと思ったりしました。
閉館の18時ちょうどまで、十分堪能できました。来年以降もこの1時間前入場作戦で観ようと思います。11月後半には、医師会主催で興福寺住職による「奈良から生まれた伝統文化」の講演、さらに医師会主催で奈良文化財研究所室長による「平城宮大極殿の復原」の講演と続きます。私のような古代奈良ファンにはたまらないイベント三昧です。
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